movie_99’s diary

映画や音楽やらの感想をぼちぼちと。

【映画レビュー】『パディントン2』

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この映画を見ると決定的だが、今年のテーマは理想を謳い上げることにあると思う。そして、今作もその系譜の映画であった。

 

所謂理想的な世界というものを「パディントン2」はなんの恥ずかしげもなく描ききっている。しかし、それでも尚この映画が綺麗ごとになってないのは、パディントンというキャラクターの包容力と説得力にあると考える。CGと実写の融合という点では、2000年代前半からムーブメントが起こり、何度もアニメのキャラクターが実写の世界に投入されてきた。近年でいうと少し趣向を変えたキャラ設定が斬新だった「テッド」などがある。そんな中、今パディントンというキャラクターを再現することは、あまりフレッシュではなく、一見なんのオリジナリティもない企画だと思われる。しかし、その再現度の高さと、このテーマをパディントンというキャラクターを通して語ることで、今これをやることの意味がかなり大きくなっている。パディントンという嘘のキャラクターが訴える現実の世界の理想論によって、この物語を信じたくなる。そしてこの現実だからこそ、ここで掲げられたものを信じることをやめてはいけないと思わせる。

 

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ルックからは想像もできない、オリジナリティ溢れる演出にも満ちている。グラフィカルな絵本の中や、スケッチ風のアニメやコマ撮り風になったり、様々なアイディアと工夫が凝らされていて、全編愉快に楽しい絵面が展開される。素直にここは楽しめるところだ。クライマックスにそれまで敷いてた伏線を片っ端から回収していく手腕も気持ちいい。序盤と重なるクライマックスの水中など、様々な細部と反復によって、笑えたり感動できたりする作りは前作同様、今作も流石である。

 

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パディントンが敬愛するおばあさんがこの作品では何度か登場する。しかし、オープニングとエンディング以外でこのキャラクターが登場するのは、あくまでパディントンの頭の中であり、実際に登場するのは二箇所だけというのも見事な徹底振りだ。完全にこのための演出が、ラストカットの感動を増しているし、ここでするパディントンの空想がなんでこの物語に必要なのかという話にもなってる。要はパディントンが抱く空想こそこの映画が掲げてる理想のメタファーであり、本作ではそれを信じるということが、全編を貫く一貫したテーマであったかのように思える。パディントンの無実を信じて奮闘するブラウン一家の姿も含めて。全体が「信じること」の大切さを説いた映画であるのは明白だ。そんな中で提示される、この現実の理想論と前述した信じることをやめてはいけないということに、どんなに説得力のあることだろうか。誰かを、そして良き世界を信じてみたくなる、そんな映画だった。