movie_99’s diary

映画や音楽やらの感想をぼちぼちと。

【映画レビュー】『娼年』

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実は三浦大輔作品は元々そんなに得意ではない。「ボーイズ・オン・ザ・ラン」の平坦さ、「愛の渦」の悪い意味でのやりすぎ感には首を傾げざるおえなかった。「何者」は唯一好きと言える映画ではあったが、それでも映画としての弱さみたいなのは感じた。しかし、今回の「娼年」は三浦作品でも最もクールな視点を持ちながら、映画としての強度もしっかり兼ね備えた良作だった。

 

1人の青年が様々な女性の「性」の世界に触れていき変化していくという正にボーイミーツウーマンな成長譚としてとても面白かった。この主人公の青年が、「愛の渦」の池松壮亮、「何者」の佐藤健と通ずるような「他人に呆れながら諦めきっている」大学生なのがとても面白かった。松坂桃李の空虚さと幼さを兼ね備えた演技の凄まじさも期待以上。濡れ場ももちろんだが、普通のシーンの虚ろな目がとても素晴らしかった。

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この映画で最も感動したのは撮影。特に「夜の東京」を映し出す映像とカラーリングに痺れた。全体を彩る「青」が艶かしい色気を出している。この「夜」にとても感動してしまって、この部分だけだったら今年ベストだ。映像をつなぐショットのセンスや、カットバックの凄まじさもハンパなかった。

正直気になるところもある。母親云々のエピソードを実はあまり上手く物語に機能できてなかったように思えるし、お話も中盤淡々としすぎていた気がする。あと、チャラいホスト描写の安っぽさは日本映画やドラマの課題の一つだと改めて考えさせられた。しかし、三浦大輔作品では一番好きになれた。あの「夜」と「東京」を見れただけで、料金分元が取れたと思う。